高齢者を狙う金融詐欺の手口と対策 ~大切な資産を守るために知っておくべきこと~
高齢者を狙う金融詐欺の現状
人生100年時代を迎え、セカンドライフを安心して過ごすためには、ご自身の資産を守ることが大変重要になります。しかし残念ながら、高齢者の方々を狙った巧妙な金融詐欺が後を絶ちません。大切な年金や貯蓄といった資産が、詐欺によって一瞬で失われてしまうケースも多く発生しています。
このような詐欺は手口が日々変化しており、「自分は大丈夫」と思っていても、誰もが被害に遭う可能性があります。ご自身や大切なご家族が被害に遭わないために、まずはどのような詐欺の手口があるのかを知り、適切な対策を講じることが大切です。
高齢者を狙う主な金融詐欺の手口
詐欺の手口は多岐にわたりますが、ここでは特に高齢者の方々が狙われやすい代表的な手口をご紹介します。
1. 振り込め詐欺(オレオレ詐欺、還付金詐欺など)
- オレオレ詐欺: 親族や警察官、弁護士などを装い、「事故を起こした」「借金返済に困っている」といった名目で、現金を指定の口座に振り込ませたり、指定の場所に持ってこさせたりする手口です。声を変えたり、巧妙な嘘をついたりするため、本物だと思い込んでしまうことがあります。
- 還付金詐欺: 税金や医療費などの「払いすぎた分が戻ってくる」などと公的機関を名乗り、手続きのためにATMを操作させたり、手数料として振り込ませたりする手口です。公的機関がATMで還付手続きを指示することは絶対にありません。
2. 投資詐欺
「必ず儲かる」「元本保証」といった甘い言葉で、価値のない未公開株や社債、架空の権利などを購入させる手口です。劇場型詐欺と呼ばれる、複数の人物が登場して信用させるような手口もあります。リスクの説明がなく、一方的に利益を強調する場合は、詐欺を強く疑う必要があります。
3. キャッシュカード詐欺盗
警察官や銀行員などを名乗り、「あなたのキャッシュカードが悪用されている」などと言って自宅を訪問し、偽のカードとすり替えて盗み取る手口です。暗証番号を聞き出そうとすることもあります。警察や銀行がキャッシュカードの暗証番号を聞いたり、カード自体を預かりに来たりすることはありません。
4. その他
- 点検商法・次々販売: 屋根や床下などの点検を装って家に上がり込み、不安を煽って不要な工事契約を結ばせたり、次々と高額な商品を売りつけたりする手口です。
- インターネット関連詐欺: パソコンやスマートフォンに「ウイルスに感染しました」などの偽警告を表示させ、修理費用と称してお金を騙し取る手口や、偽のサイトで個人情報を入力させるフィッシング詐欺などがあります。デジタル機器に不慣れな方が狙われやすい傾向があります。
被害に遭わないための具体的な対策
詐欺から大切な資産を守るためには、日頃からの備えと、おかしいと感じたときにどう行動するかが鍵となります。
1. 「おかしいな」と感じたら、一人で判断しない
- 知らない相手からの電話や訪問には、特に慎重に対応してください。
- たとえ身内を名乗られても、慌てずに一度電話を切り、自分から本来の連絡先に電話をかけ直して事実を確認することが重要です。
- お金の話が出たら、詐欺を疑う習慣をつけましょう。
- 「今日中に」「すぐに」などと急かされたら、それは詐欺の可能性が高いサインです。
2. 大切な情報は安易に教えない・渡さない
- 電話や訪問者に対し、家族構成、資産状況、銀行口座の番号や暗証番号、キャッシュカードの情報を絶対に教えたり渡したりしないでください。
- 役所や銀行が電話で暗証番号を聞くことはありません。
- 自宅を訪問してきた相手に、安易にキャッシュカードや印鑑などを渡さないでください。
3. 電話の対策
- 知らない電話番号からの着信には出ないように、常に留守番電話に設定しておくことをお勧めします。相手が本当に用事があるなら、メッセージを残すはずです。
- 非通知の電話には出ないように設定することも有効です。
- 迷惑電話防止機能付きの電話機を利用するのも良い方法です。
4. 家族や周囲とのコミュニケーションを大切に
- 日頃から家族と密に連絡を取り合いましょう。最近の出来事や、不審な電話、訪問者があったことなどを話しておくと、家族が気づいてくれることがあります。
- 少しでも不安に感じることがあれば、一人で抱え込まず、信頼できる家族や友人に相談してください。
5. 公的な相談窓口を活用する
「これは詐欺かもしれない」「どうしたら良いか分からない」と感じたら、ためらわずに以下の窓口に相談してください。
- 警察相談専用電話「#9110」: 詐欺被害に遭いそうになった、不審な電話があったなど、犯罪被害に関する相談を受け付けています。緊急の場合は110番へ。
- 消費者ホットライン「188(いやや!)」: 悪質な商法や消費者トラブルに関する相談を受け付けています。最寄りの消費生活センターなどにつながります。
- 自治体の消費生活センター: お住まいの地域の消費生活センターでも相談が可能です。電話だけでなく、対面での相談も受け付けている場合があります。自治体の広報誌やウェブサイトで連絡先を確認できます。
- 金融機関の窓口: ご利用の金融機関の窓口でも、不審な取引や詐欺に関する相談に応じてくれる場合があります。
まとめ:一人で悩まず、まず相談を
詐欺は、不安や孤独を感じている方を狙う傾向があります。日頃からご家族や地域社会とのつながりを持ち、一人で抱え込まないことが何よりも大切です。少しでも「おかしいな」「怪しいな」と感じたら、すぐにお金の話に応じたり、個人情報を教えたりせず、まずは落ち着いて対応し、信頼できるご家族や専門の相談窓口に相談するようにしてください。大切な資産を守り、安心して豊かなセカンドライフを送るための一歩となります。